ブレーカーが落ちる原因は?対処方法やブレーカーの種類を解説

目次

電子レンジを使用しながらお風呂上がりのドライヤーを使っていると、突然「バツン!」という音とともに部屋が真っ暗に…そんなブレーカーが落ちた経験をした人も多いのではないでしょうか。住み慣れた家であれば、すぐにブレーカーを復旧できるかもしれません。しかし、新居や慣れない環境下でブレーカーが落ちた際は、どう対応すればいいかわからなくなってしまうでしょう。

そこで今回は、電気工事士の資格を持つ私が、突然ブレーカーが落ちた際の適切な対処法を説明します。ぜひスマートフォンなどでこの記事を片手に、復旧を目指してみてください。

【まずは確認】ブレーカーが落ちたときの行動・復旧対応

ブレーカーが落ちたとき、原因となるブレーカーを確認し、適切な行動・復旧対応をする必要があります。まずは、ブレーカーごとの復旧対応について、詳しく解説します。

配線用遮断器(アンペアブレーカー)が落ちたときの行動

配線用遮断器(アンペアブレーカー)が落ちた場合、復旧までの行動は以下のとおりです。

<配線用遮断器(アンペアブレーカー)が落ちたときの行動>

1.落ちたブレーカーの場所で、落ちる直前まで使用していた家電の電源を可能な限りOFFにする 

2.アンペアブレーカーを再びONにする

3.ブレーカーが落ちないことを確認し、一度に使用する家電の量を減らして電気を使う

アンペアブレーカーの場合、再びスイッチをONにするだけで復旧できるケースが多いです。ただし、同じ使用状況でONにしても、再度落ちる可能性が高くなります。直前まで使用していた家電の電源をOFFにしてから、立ち上げることがポイントです。

家電の使用量を減らすことでブレーカーが落ちない場合、電気を一度に使い過ぎていることが原因なので、使用量を減らせば電気を問題なく使用できます。

漏電ブレーカーが落ちたときの復旧対応

漏電ブレーカーが落ちた場合、電気火災や感電のリスクを伴うため、早急かつ慎重に対応する必要があります。対処方法は、以下のとおりです。

<漏電ブレーカーが落ちたときの復旧対応>

1.すべてのブレーカーをOFFにする。 

2.主の遮断器(多くの場合は漏電ブレーカー)をONにする

3.子のブレーカーを1つずつONにし、漏電ブレーカーが落ちないか確認する

4.漏電ブレーカーが落ちたタイミングでONにしたブレーカーが漏電箇所

5.再度1の手順から始め、漏電箇所以外のブレーカーをONにする

6.漏電が疑われている箇所で使用している家電のコンセント・配線を抜く

7.電力会社・電気工事店に漏電に関する点検を依頼する

もし漏電箇所が特定できなかった場合でも、漏電ブレーカーが落ちた場合は、電力会社・電気工事店に点検を依頼しましょう。早急に対処し、電気を安全に使える状態に戻すことが大切です。

ブレーカーの種類と役割

「そもそもブレーカーって何?」と気になる方もいるのではないでしょうか。ブレーカーは、電気を遮断するための装置のことです。配線用遮断器と呼ばれることもあり、いくつかの種類が設けられています。

<ブレーカーの種類>

・アンペアブレーカー(一般的なブレーカー)

・漏電ブレーカー

・感震ブレーカー

ここからは、それぞれのブレーカーについて詳しく解説します。

アンペアブレーカー(一般的なブレーカー)

アンペアブレーカーは、設定された以上の電流が一定時間流れると、自動的に開路が遮断される仕組みのブレーカーです。設定された数値は、電力会社との契約アンペアです。

分電盤の中には、いくつかのブレーカーが設けられていますが、大元のブレーカーを「主のブレーカー」、大元から枝分かれして、各部屋用に設けられているブレーカーを「子のブレーカー」と呼ぶこともあります。このとき、子のブレーカーは「安全ブレーカー」と呼ばれ、アンペアブレーカーは主のブレーカーに該当します。

一般的に目にすることの多いブレーカーは、漏電が生じた際の遮断機能はありません。漏電が生じた際の遮断装置は、後述する「漏電ブレーカー」が担います。

漏電ブレーカー

漏電ブレーカーは、家庭内で漏電・電気配線の短絡(ショート)が生じた場合に、自動検知して回路を遮断します。家全体の電気火災・感電などの事故を防ぐことが目的なので、分電盤にある主のブレーカーが漏電遮断器になっているケースが多いです。

漏電ブレーカーが落ちた場合、漏電表示装置が動作していれば、漏電が生じている可能性があります。漏電が生じることで、電気火災・感電などの二次災害につながる恐れがあるため、迅速かつ慎重に原因の特定、対処しなければなりません。

感震ブレーカー

感震ブレーカーは、地震による大きな揺れをブレーカーに内蔵されたセンサーが検知して、回路を遮断する装置のことです。ここからは、感震ブレーカーの種類を一つずつ紹介していきましょう。

コンセントタイプ

【特徴】

内蔵されたセンサーが地震を検知すると、電気回路を遮断して保護する

【メリット】

・作動の信頼性が高い

・コンセントごとに回路を遮断できる

・機器コードや機器の火災防止が可能

・ユーザーによる復電が簡単

【デメリット(注意点)】

・屋内配線火災に対する効果は期待しづらい

・設置の台数が多くなるほど導入費用が高くなる

【電気工事の必要性】

必要・不要の両方がある

分電盤タイプ

【特徴】

分電盤に設置して回路を保護する

【メリット】

・分電盤(配電盤)ごと交換するより導入費用が安い

・作動の信頼性が高い

・遮断前警報機能が搭載されている

・ユーザーによる復電が簡単

【デメリット(注意点)】

・導入費用が高い

・防犯、避難用照明などの電源は別に用意する必要がある

・遮断まで3分の猶予があるため、地震初期の発火防止に関して限定的な可能性がある

【電気工事の必要性】

必要

簡易タイプ

【特徴】

地震の揺れでおもりが落ちたり、振り子が作動したりしてブレーカーをOFFにするタイプ。コンセントに差し込んで使うタイプのものもある

【メリット】

・導入費用が安い

・電気工事が不要

・ユーザーによる復電が簡単

【デメリット(注意点)】

 ・誤作動の可能性がある

・揺れと同時に電気回路が遮断される

・防犯、避難用照明などの電源は別に必要

【電気工事の必要性】

必要

感震リレータイプ

【特徴】

分電盤に取り付ける感震ブレーカーの外付けタイプ

【メリット】

・作動の信頼性が高い

・遮断前警報機能が搭載されている

・屋内配線、機器コード、機器の火災を防止できる

・ユーザーによる復電が簡単

【デメリット(注意点)】

・導入費用自体は高い

・漏電遮断器が設置されている必要がある

・遮断まで3分の猶予があるため、地震初期の発火防止に関して限定的な可能性がある 

【電気工事の必要性】

必要

感震ブレーカーは、経済産業省や日本電気協会にて設置が推奨されています。地震に伴う二次災害の中でも、電気火災を防止するうえで注目されているブレーカーです。

ブレーカーが落ちる主な原因

ブレーカーが落ちる主な原因をまとめると、以下のとおりです。

<ブレーカーが落ちる主な原因>

・電気の使い過ぎ

・漏電・電気配線の短絡(ショート)

・地震

ここからは、それぞれの原因について、詳しく解説します。

電気の使い過ぎ

特定の回路(部屋)で電気を使い過ぎると、ブレーカーが落ちます。安全ブレーカーの電流上限値を超えることで、装置が作動するためです。

例えば、ドライヤーやホットプレートなど、使用時の消費電力が高いものを同時に使用すると、ブレーカーが落ちることがあります。この場合、どちらかの使用を制限する、もしくは別の場所で使用することで、ブレーカーが落ちるのを回避することが可能です。

また、電力会社との契約アンペアは、住んでいる建物ごとに異なります。一度、自分の契約アンペアを確認し、使える電流の上限を把握しておくとよいでしょう。

家電付きの住まいを見る

エリア別に物件を探す

Powered by

漏電・電気配線の短絡(ショート)

建物内のどこかで、漏電・電気配線の短絡(ショート)が起こると、ブレーカーが落ちます。この場合、漏電ブレーカーが動作するのが目印です。

漏電ブレーカーが落ちて「漏電表示装置」が作動している場合、むやみにONにして電気を使おうとすると、火災・感電など電気系のトラブルにつながる恐れがあります。適切な方法で原因を特定しつつ、電力会社や電気工事店などに相談して、指示を仰ぐ・点検してもらうことが大切です。

地震

感震ブレーカーを設置している場合、地震が生じることでブレーカーが落ちます。地震による大きな揺れを検知して、感震ブレーカーが回路を遮断するためです。

ただし、感震ブレーカーが設置されていないと、家屋が崩壊・電気配線で異常が生じている状態で通電が行われ、電気火災などの二次災害につながる恐れがあります。実際、地震による火災の過半数が電気関係によるものと、経済産業省からも公表されています。 

感震ブレーカーは、建物に住んでいる人間が外出中でも、変わりなく動作して建物を守る役割もあるため、可能であれば設置しておくのがおすすめです。

制震構造の住まいを見る

エリア別に物件を探す

Powered by

耐震構造の住まいを見る

エリア別に物件を探す

Powered by

免震構造の住まいを見る

エリア別に物件を探す

Powered by

ブレーカー落ちを防ぐ対策方法4選

では、ブレーカーが落ちるのを防ぐには、どうすればいいのでしょうか。主な対策方法は、以下の4つです。

<ブレーカー落ちを防ぐ対策方法4選>

・契約アンペア数を見直す

・消費電力の大きい家電を同時に使わない

・漏電対策を心がける

・コンセントを分けて使用する

それぞれを具体的に見ていきましょう。

契約アンペア数を見直す

契約アンペア数が使用状況と合っていないと、頻繁にブレーカーが落ちることになります。一度、世帯人数や使用状況に対して、契約アンペアが適切かを見直してみましょう。

契約アンペアの目安に関しては、以下の表を参考にしてみてください。

【契約アンペアの目安】

世帯人数契約アンペアの目安
1人暮らし20〜30A
二人暮らし30〜40A
3~4人暮らし40〜50A
オール電化や大人数で生活している世帯50〜60A

消費電力の大きい家電を同時に使わない

消費電力の大きい家電を同時に使うと、ブレーカーが落ちることがあります。例えば、電子レンジとドライヤーを同時に使用するといった使い方です。

もし同時に使用する頻度が多い場合、先ほどご紹介したように、契約アンペア数を見直してみましょう。そうでない場合は、同時使用を避けることが大切です。

家電付きの住まいを見る

エリア別に物件を探す

Powered by

漏電対策を心がける

漏電ブレーカーが落ちるのを防ぐためには、日頃からの対策・意識が大切です。例えば、以下のようなことを意識してみましょう。

<漏電対策>

・濡れた手で家電に触れない

・たこ足配線を避ける

・コンセント周りのほこりを定期的に取り除く

・アース線をつなぐ

・定期的に電気の点検を依頼する

漏電を防ぐため、日頃から対策・意識をしておきましょう。

コンセントを分けて使用する

「契約アンペア数を変えたくないけど、消費電力の大きい家電を一緒に使いたい」という場合、コンセントを分けて使用する方法があります。契約アンペア数を上回っての使用はできませんが、部屋を分けて使用することで、特定の部屋のブレーカーが落ちることは避けられます。

例えば、1つのコンセントに流せる電流が15Aの場合、使用できる消費電力の上限は1,500Wです。(家庭の電圧は100Vであるため)

このとき、1,000Wのドライヤーと600Wの電子レンジを同時に使用すると、上限を上回って安全ブレーカーが落ちます。そのため、部屋を分けて、それぞれの上限の範囲内に収めることで、ブレーカーを落とさずに家電を使用できるというわけです。

ブレーカーが落ちても焦らず対応しよう

今回は、ブレーカーが落ちた場合の対処法や原因について、詳しく解説しました。ブレーカーが落ちたからといって、焦らないようにすることが大切です。

ブレーカーには、一般的な配線用のブレーカー・漏電ブレーカー・感震ブレーカーなどの種類があるため、それぞれが落ちた際の原因・対処法を把握しておきましょう。電気を安全に使用して、電気火災が発生するのを防ぐことが重要です。