壁紙は部屋の雰囲気を大きく左右するポイントです。部屋の雰囲気を変えたいときには、壁紙を張り替えるという選択肢があります。
ですが、賃貸物件に住んでいると、勝手に張り替えても大丈夫なの?と心配ですよね。また、壁紙を張り替えるのは難しそうという不安もあるかもしれません。
そこで今回は、賃貸物件で壁紙を張り替える際の注意点や、おすすめの方法についてご紹介します。また、インテリアコーディネーターの目線から部屋をオシャレにするための壁紙の張り替えポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
あなたの賃貸物件で壁紙を張り替えられるか確認しよう!
大前提として、賃貸物件で壁紙の張替えはしても大丈夫なのか確認しましょう。
賃貸物件には「原状回復義務」というものがあります。これは普通に生活している中での傷や経年劣化は問題にはなりません。しかし、故意に床や壁を傷つけてしまった場合にはこの原状回復義務が発生し、場合によっては退去時に補修費等を請求されることがあります。
この原状回復義務があるため、賃貸物件での壁紙の張り替えは、今の壁紙を剥がして新しく張るというよりは「今の壁紙の上から張って、退去時には剥がして元通りにする」という方法になります。
また、原状回復できる方法だとしても、物件によっては「DIY不可」という条件がついていることもありますので、入居時に受け取る賃貸借契約書をきちんと確認するようにしてください。不安な場合は、大家さんや管理会社に事前に相談してみるのが一番です。
賃貸物件で壁紙を張り替える方法
原状回復義務について確認したら、次はきちんと元に戻せるように壁紙を張り替える方法を確認しましょう。こちらでご紹介する方法は、いずれも原状回復が可能な壁紙の張り方です。
ただし、使われている壁紙の種類や壁紙の状態によっても異なりますので、最初は目立たないところで試し張りをしてみてくださいね。
貼って剥がせる壁紙を使う
賃貸物件で壁紙を張り替える方法として、簡単でおすすめなのが貼って剥がせる壁紙を使うこと。裏面にのりがついていて、シールのように壁に貼ることが出来ます。種類も豊富にあり、部屋のインテリアのイメージに合わせて選ぶことができますよ。特別な道具も必要ないため、壁紙DIYとして人気の方法です。
ただし、もともとの壁紙が劣化している場合など、状態によっては剥がすときに一緒に剥がれたり傷がついたりしてしまうかもしれません。また、剥がせる壁紙でも長期間貼っているとのりが固化し、剥がすときに壁紙を傷つけてしまうことがあります。
貼る前に必ず目立たないところで試し貼りをし、大丈夫そうであっても長期間貼りっぱなしにすることは避けましょう。定期的に状態を確認し、貼り直すのがおすすめです。
壁の前にもう一枚壁を作り、好きな壁紙を貼る
手間はかかりますが、壁の前にもう一枚壁を作れば、その壁は原状回復を気にせず好きなようにDIYすることが可能です。壁を作るのはハードルが高いと思われるかもしれませんが、簡単に室内に壁を作るためのDIYグッズがあります。おすすめなのは、ディアウォールやラブリコといった商品を使う方法です。
これらの商品は、床や壁を傷つけることなく室内に柱を立てることができるDIY用商品です。部屋の高さにカットした木材の上下に部品を取り付け、床から壁に木材を突っ張らせるようにして立てます。壁に沿って柱を立てたら、そこにベニヤ板や合板などを打ち付けていくだけで簡易的な壁の完成です。
手間はかかりますがその分自由度が高く、好きな壁紙を貼ったりペイントしたり、自由に壁をアレンジすることができますよ。
ホチキスやマスキングテープなどの便利アイテムを使う
簡易的な方法にはなりますが、ホチキスやマスキングテープを使って貼る方法もあります。マスキングテープを使う方法は、壁にマスキングテープを貼り、その上に両面テープを貼って壁紙を貼り付けるというもの。マスキングテープは粘着力が弱く何度も貼って剥がすことができるため、DIYにもよく使われます。
ですが、マスキングテープも剥がせる壁紙と同じく、長期間貼ったままにしておくのはおすすめできません。テープの種類や元の壁紙にもよりますが、テープが綺麗に剥がせなかったり、剥がすときに下の壁紙を傷つけてたりしてしまう可能性があるからです。
また、この方法は粘着面が広くないため、施工範囲が広くなるとシワやたるみができてしまいやすいです。マスキングテープは元々粘着力が強くないため、壁紙を貼っても剥がれたりズレたりしてしまう可能性も高いでしょう。よって大きな面積の壁紙にはおすすめではありません。
ホチキスを使う方法は、貼りたい壁紙の上からホチキスを開いた状態で押し当てて針で留めていくというもの。ホチキスの針穴が残るのが不安に思われるかもしれませんが、ホチキスの芯は画鋲の針より細く、跡もそれほど目立ちません。ただし、この方法もシワやたるみができてしまいやすいため、広い範囲の壁紙を貼るのにはおすすめできません。
突っ張り棒を使って布を活用する
さらに簡易的で壁を傷つけない方法として、突っ張り棒を利用して布を掛ける、というアイデアもおすすめです。こちらは壁紙を変える方法ではありませんが、同じように壁の印象を変えることでお部屋の雰囲気を変えることができます。
透け感のあるレース素材や、キラキラ光る糸で模様が入った布など様々な素材があり、壁紙とはひと味違った雰囲気を楽しむ事ができますよ。
賃貸物件で壁紙を張り替える際の注意点
賃貸物件で壁紙を張り替える方法をご紹介しましたが、必ず注意してもらいたいことがあります。賃貸物件での壁紙の張り替えに失敗してしまわないよう、注意点もしっかり確認してくださいね。
原状回復に深刻な影響を与えないよう注意する
賃貸で壁紙を張り替える際に重要なのは、冒頭でも説明の通り、原状回復できるかどうかという部分です。ご紹介した方法はいずれも原状回復が可能な方法ですが、既存の壁紙の状態によって異なります。
最初は必ず目立たないところで試し貼りを行いましょう。また、長期間貼りっぱなしにせず、定期的に剥がして状態を確認するようにしましょう。
張り替えの際、壁紙だけでなく床などにも傷がつかないよう注意する
原状回復義務は、壁だけでなく床や柱などにも発生します。壁紙を貼る際には、他の部分も傷つけてしまわないよう、しっかりと保護した上で行いましょう。
特に、柱を立てて壁を作る方法では、床や天井を傷つけてしまわないよう十分注意してください。
インテリアコーディネーターが考える、おしゃれな壁紙選びのポイント
せっかく壁紙を張り替えるなら、オシャレな部屋にしたいですよね。ここからは、壁紙を張り替えてオシャレな部屋にする方法をインテリアコーディネーターの目線からご紹介します。
ポイント①一面のみ好きな壁紙を貼り、アクセントクロスにする
アクセントクロスとは、部屋の一面だけに色や柄の入った壁紙を貼ることで部屋のアクセントにするもの。
デザイナーズ物件では、アクセントクロスを取り入れている物件も多いです。デザイナーズ物件でなくても、アクセントクロスを取り入れることで部屋をオシャレな印象に変えることが出来ますよ。
一面だけなので、少し色味の強いものや柄が入ったものでも取り入れやすく、お部屋の雰囲気をガラッと変えることが出来ます。また、一面のみなので、壁の全面を張り替えるよりも簡単です。
ポイント②インテリアに合わせた壁紙を選ぶ
壁は部屋の中で面積が大きいため、部屋の印象に大きく影響を与える要素となります。そのため、理想のインテリアに合わせた壁紙の選び方が重要です。
落ち着いたリラックスできる部屋にしたい場合は、柄物ではなくシンプルな壁紙で、色味も落ち着いたカラーのものがおすすめ。
キュートやポップな明るいインテリアにしたい場合は、壁紙も明るい色や柄が入ったものを選ぶと良いでしょう。
また、ナチュラルな雰囲気のインテリアなら木目調やボタニカルな柄が、落ち着いたクラシカルやシャビーシックな部屋にしたかったらダマスク柄などがおすすめです。
このように壁紙は種類が豊富なので、部屋のインテリアのイメージに合うものを選んでみてくださいね。
ポイント③作りたいイメージに合った柄を選ぶ
壁紙を選ぶ際には、色や柄のもたらす視覚効果についても知っておくことがおすすめです。
例えば、白い壁紙には部屋を広く見せる効果があり、暗い色になるほど圧迫感を感じさせます。面積の狭い部屋の場合は、暗めの壁紙を選ぶと実際より狭く感じてしまうため注意しましょう。また、大きな柄物の壁紙も、手前に迫ってくるような圧迫感を感じることがあります。小さな柄のほうが部屋を広く見せることができるでしょう。
また、柄の効果として縦のストライプ模様には天井を高く感じさせる効果が、横のボーダー模様には部屋の奥行きを広く見せる効果があります。こういった効果を知り、どんな部屋に見せたいかのイメージから壁紙を選ぶのもおすすめです。
壁紙を張り替えられる賃貸物件に引っ越すには
ここまで読んで、次に借りる賃貸物件では壁紙を張り替えたい!という気持ちが芽生えた方は、次に「本当に壁紙を張り替えてもいいかどうかの確認の仕方」やそのタイミングについて学んでいきましょう。
まず、ここまで紹介したような「原状回復に影響しない範囲での壁紙張り替えを考えている」場合と、本格的なDIYを伴う「原状回復を前提とした壁紙張り替えを考えている」場合の2つに分かれますので、それぞれ分けて説明していきます。
原状回復に影響しない範囲での壁紙張り替えを考えている場合
この場合、基本的には壁を傷つけない方向で壁紙をイメージチェンジするだけのため、引越しや物件探しにあたって特別な条件は必要ありません。
ただし「リフォーム不可」「DIY不可」といった記載があったり、契約にあたって大家さんや管理会社から直接そういった行為はやめてほしいと強く伝えられたりした際は注意が必要です。
たとえ考えている方法が原状回復に影響しないものであったとしても、避けたほうがいいでしょう。「部屋を借りている立場」として、大家さんや管理会社に迷惑が掛かる可能性がある行為は控えましょう。
原状回復を前提とした壁紙張り替えを考えている場合
原状回復を前提としたDIY壁紙張り替えをしたい!という人は、物件探し~契約の際に通常のフローに加えて以下の3ステップを踏む必要があります。
①目をつけている物件が「リフォーム不可」「DIY不可」またはそれに類似する条件がないかどうか確認する
②契約の際に、壁紙張り替えを考えている旨を大家さん・管理会社に伝え、可否を伺う
③話し合いの結果を書面でまとめ、退去時にトラブルがないようにする
①に関しては、そもそもそう提示している以上、他の条件がどんなに魅力的でもその物件を諦めなければいけません。
②では、ざっくりとしたイメージを伝えるのではなく、「どこの壁紙を」「どのような方法で」「どれぐらいの面積を」張り替えるのかまでしっかりと伝えることが大切です。この時点で断られてしまった場合も、素直に諦めましょう。もし伝達内容に不足や相違があった場合、トラブルの原因になり、最悪強制的に退去となる可能性があります。
そして③で、上記で話し合ったことを書面にまとめ、言った言わないでトラブルになるのを避けましょう。また、大事なのは一方的な「伝えた認識があるかどうか」ではなく、貸主・借主両方が納得の上で円満に部屋を借りることです。
インテリアコーディネーターが選ぶ!壁紙が映えるおうちの条件
ここからは、「自分で壁紙を張り替えて部屋のイメージを変えたい」という人におすすめしたい、壁紙が映えるおうちの条件をご紹介します。
張り替えた壁紙を最大限見せるための、収納が多い物件
壁紙を張り替えても、壁の前に背の高い収納を置く必要がある場合、せっかく張り替えた壁紙が隠れてしまいます。そうならないためには、収納が多い物件がおすすめです。収納が多いと部屋がすっきりするため、オシャレな部屋も作りやすいですよ。
壁紙を張り替えるなら、壁を最大限見せることができる物件を選びましょう。ウォークインクローゼット付きの物件や、全居室収納付きの物件がおすすめです。
壁紙を際立たせるフローリングの物件
壁紙を張り替えてオシャレな部屋にしたいと思ったら、畳よりフローリングの部屋がおすすめ。
和室の場合は合う壁紙が限られてしまい、壁紙でオシャレな部屋にするのは難易度が高いです。フローリングの場合は壁紙を選ばずどんな色や柄でも合わせやすいため、失敗したくないと思われたらフローリングの物件を選ぶのがおすすめです。
おしゃれを追求したい人におすすめのデザイナーズ物件
デザイナーズ物件は、床や建具など最初からオシャレな内装になっていることが多いです。そのため、自分で壁紙を張り替えるだけでなくさらにオシャレな部屋にしたいと思う方におすすめです。
デザイナーズ物件は最初からアクセントクロスが取り入れられていることもあるので、最初はそのままで過ごし、途中から自分でアクセントクロス部分を張り替えることで部屋の雰囲気を変えることもできますよ。
まずはアクセントクロスがある部屋を見てみたいという方も、デザイナーズ物件をチェックしてみてくださいね。(ただし全てのデザイナーズ物件でアクセントクロスが取り入れられているというわけではないため、気になる人は事前に内見でチェックしておきましょう)
賃貸物件で壁紙を張り替えるなら、禁止事項とリスクをしっかり確認しよう!
賃貸物件でも壁紙を変えることは不可能ではありません。ただし、物件によって禁止事項が違うため事前にしっかり確認しましょう。
また、原状回復できる方法で張り替えても、100%大丈夫ということはありません。きちんとリスクを確認した上で、なるべく元の壁紙にダメージを与えないよう気をつけてくださいね。
きちんと禁止事項やリスクにさえ気をつければ、壁紙の張り替えは部屋のイメージやインテリアを変えるのにおすすめの方法です。自分の作りたい部屋のイメージに合わせて、壁紙の張り替えを楽しんでみてくださいね。