【管理栄養士監修】 「食べたいものがない…」という人はチェック!原因と食欲不振解消レシピ

目次

人間が生きていくために必要になる「食事」。

食事は栄養補給のために欠かすことができないのに加え、日々の楽しみともなる人間にとって必要な生命活動です。

しかし、特に原因が思い当たらないのに「なんとなく食欲がない」、「食べたいものがない」といった経験がある方も多いのではないでしょうか?

この記事では、そんな「食べたいものがない」というときに考えられる原因や、食欲不振を解消するためのポイント、おすすめレシピなどについて管理栄養士が紹介していきます。

また、食欲不振のときは料理をするのも嫌になってしまいます。しかし、機能的なキッチンがあれば、料理をするハードルも下がるかもしれません。ぜひ併せてチェックしてみてください。

食べたいものがないと思ってしまう(食欲不振の)主な理由

「ご飯を食べないといけないとわかっているのに食べられない」、「食べたいと思うものがない」と感じるのには、いくつかの原因が考えられます。

これから紹介する原因に思い当たる節があるかどうか、一緒にチェックしていきましょう。

身体的な疲労

食欲不振の原因の1つ目は、身体的な疲労です。仕事や運動などにより、身体的な疲労を感じると、食欲が低下してしまうことがあります。特に、強度の高い運動をしたあとは食欲が低下すると言われています。

また、運動をしていないにも関わらず疲労感があるという方は、根本的な体力や筋力が足りておらず、日常生活の中で身体的な疲労が蓄積している可能性があります。

身体的な疲労によって食欲がなくなってしまっていると感じる方は、身体を休めることを優先しましょう。また、運動習慣がない方の場合は、逆に定期的な運動習慣をつけることで疲労を感じづらくなり、食欲が戻るかもしれません。

消化管に関する疾患や嚥下機能の低下

消化管疾患や嚥下機能の低下も、食欲が減退する原因となることがあり、主に高齢の方に見られます。

胃や腸などの消化管に疾患や異変がある場合、食事をしても栄養素を吸収することが難しいため、脳から「食べなくてもいいよ」という信号が送られ、食欲が低下することがあります。

また加齢により嚥下機能が低下すると、1回の食事量が低下し、一度に量を食べられなくなります。また匂いや味を感じづらくなり、食欲が低下することが懸念されます。

消化管に違和感がある場合や、食事が食べづらくなったと感じたら、まず病院を受診して検査を受けましょう。

ストレスや精神的不安によるもの

ストレスや精神的な不安感も、食欲不振につながることがあります。

人間関係がうまくいっていなかったり、先に不安な出来事が待っていたりと、様々な理由からストレスや不安を感じると食事が楽しくなくなったり、食べることが億劫になったりします。

そのため、こういったストレスを解消することで、食欲を改善することができるかもしれません。

ダイエットや健康への過剰な意識

特に若い女性に多いのが、ダイエットや健康への意識によって食欲が低下するパターンです。

「ダイエットしたい」、「健康なものを食べたい」と考えすぎるあまり、食事量を減らしたり偏った食生活をしたりすることで、食欲が減退することがあります。

また、こういった場合は食欲がなくなったことをむしろ肯定的に捉え、「お腹が空かないから食べなくても辛くない」と思ってしまう場合も。そのため、体重の急激な減少や栄養素の欠乏による健康被害につながるリスクも高いです。

ダイエットや健康のために食事を改善したい場合は、「食べない」のではなく、「バランスよく適量摂取」することを意識しましょう。

食べたいものがないと思ってしまうときの対処法

食欲が低下する原因について紹介しましたが、「食べたいものがない」と思ってしまったときはどのように対処すればよいのでしょうか。具体的な方法をいくつか紹介します。

「とりあえず少し食べる」ことで食欲を刺激してみる

食べたいものがないと感じたときは、「とりあえず少し食べる」ことを意識し、食欲を刺激するようにしましょう。食欲がなくても、なにかを口にすると意外とすんなり食べられたりします。

また、食事の匂いや見た目、音などで食欲が湧くことも多いため、簡単に食べられるもので良いのでとりあえず少し食べてみましょう。

食べ物の画像やSNSで気分を刺激する

「なんとなく食欲がないわけではない」というときには、食べ物の画像やSNSなどを見て、気分を刺激する方法もおすすめです。

例えば好きな食べ物を検索してみたり、行きたい飲食店を調べてみたり、誰かが食事をしているTV番組や動画を見たりするとお腹が空いてくるかもしれません。

ただし、体調が悪くて食欲がない場合などは、これらの方法で食欲を刺激しようとするとかえって気分が悪くなるかもしれないので、注意しましょう。

火を使わない・片付けが簡単な調理法を選ぶ

食事の準備をするのが億劫で食欲がなくなっている場合は、火を使わないものや、片付けが簡単な調理法を用いて食事の準備をしましょう。

疲れているときなどは、食事を準備することを考えるだけで億劫になるもの。そんなときは、電子レンジで加熱したり、焼くのではなく茹でることで油汚れを抑えたりすることで、食事の準備や片付けを簡単にしましょう。

料理をするのが面倒であれば、温めるだけの食品を用いたり、外食したりするのもおすすめです。

買い置きや冷凍ストックを活用して負担を軽減する

食事の準備が大変で食べるのが億劫という場合、事前に買い置きをしたり冷凍のストックを作ることで負担を軽減し、調理へのハードルを下げることも効果的です。

休みの日など時間のあるときにまとめて買い置きをしておけば、食事をつくる前段階である買い物の工程を省くことができます。

また、冷凍食品の買い溜めや作り置きを冷凍するなどしておけば、仕事の日はご飯を温めるだけで食べられるでしょう

ただし、冷凍食品の利用は食材から調理することと比べて割高になることもあるため、金銭面が心配な方は作り置きや簡単な調理方法を選択することがおすすめです。

食事をする環境を変える

食事の楽しみを感じないという方には、人とご飯を食べたり、外食をしたりすることで環境を変えることをおすすめします。

食事の楽しみや美味しさは、料理の味だけではなく、誰とどこで食べるかといった環境にも左右されます。

「家で一人でご飯を食べるのはつまらない」「一人だから適当になってしまう」という方は、誰かと一緒にご飯を食べることや、外食をして気分を変えることで、食事自体の楽しみを感じてみましょう。

消化のよいものを選んで消化管の負担を軽減する

体調が悪くて食欲がない場合などは、消化の良いものを選ぶことで消化管の負担を軽減してあげましょう。

体調が悪いときは、脂っこいものや味が濃いものにはあまり手が伸びないことが多いはずです。また、そういったものを頻繁に食べていると、消化管に負担がかかり、食欲が低下することも考えられます。

そのため、消化の良いものを選ぶことで消化管を休ませ、食欲を取り戻してあげましょう。おすすめはうどんやおかゆ、豆腐、ささみ、ヨーグルトなど柔らかくて脂質が少ないような食品です。

ストレスケアやリラックスを優先する

食欲が低下する原因は様々ありますが、ストレスや疲労の影響は大きいです。

食欲を取り戻すためには、ストレスのケアやリラックスを優先し、身体的にも精神的にも安定した状態を目指しましょう。

ただし、ストレス解消やリラックスに必要なことは人それぞれ違います。自分が健康で楽しく食事をするためにはどのようなことをすればよいのかを考え、ストレスや疲れを解消できるように働きかけてあげましょう。

食べたいものがないという人に試してみてほしい管理栄養士おすすめのレシピ4選

食べたいものがない時に参考にしてほしい、簡単にできるレシピを4つ紹介します。

すべて1人前想定となっているので、食欲がなくて食べられない場合は、お好みで量を調節してください。

鶏塩そうめんの作り方

■材料

・そうめん…1束

・鶏むね肉…1/4枚

・チンゲンサイ…1株

・鶏ガラスープの素…大さじ1

・酒…大さじ1

・塩…小さじ1/4

・ごま油…小さじ1

・水…250ml

・黒こしょう…少々

■作り方

①鶏むね肉は酒と塩をふって耐熱皿にのせ、ラップをかけて電子レンジで加熱。粗熱が取れたら手で裂く。

②チンゲンサイは根元を落とし、ラップで包み電子レンジで加熱。その後食べやすい大きさに切る。

③そうめんを茹でて冷水でしめ、水気を切る。

④水250mlを沸かし、沸いたら鶏ガラスープの素を入れてスープを作る。

④器にそうめんを盛り、鶏むね肉とチンゲンサイをのせてスープをかけ、ごま油と黒こしょうをかけたら完成。

梅としらすの冷やし茶漬けの作り方

■材料

・ごはん…茶碗1杯

・梅干し…1個

・しらす…30g

・大葉…2枚

・白だし…大さじ2

・水…150ml

・氷…適量

■作り方

①ごはんに刻んだ梅干し、しらす、刻んだ大葉をのせる。

②白だしと水を混ぜたものをかけ、氷を加えたら完成。

たまご豆腐となめたけのおろしあんかけスープの作り方

■材料

・たまご豆腐…1パック

・大根…150g

・なめたけ…50g

・水…250ml

・白だし…大さじ1

・すりおろし生姜…小さじ1

・水溶き片栗粉…大さじ1

・小ねぎ…適量

■作り方

①大根の皮をむいてすりおろす。

②鍋に水、白だし、すりおろし生姜、大根おろし、なめたけを入れて強火にかけ、沸騰したらたまご豆腐を加えて崩す。

③弱火にし、水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。

④器に盛り、小ねぎを散らしたら完成。

ほうれん草とささみのかき玉うどんの作り方

■材料

・冷凍うどん…1玉

・鶏ささみ…1本

・ほうれん草…60g

・卵…1個

・水…400ml

・白だし…大さじ1

・みりん…大さじ1

・砂糖…小さじ1/2

・醤油…小さじ2

・すりおろし生姜…小さじ1

・片栗粉…大さじ1

・水(片栗粉用)…大さじ1と1/2

■作り方

① ほうれん草はよく洗い、根元を落として食べやすい大きさに切る。

② 鍋に水、白だし、みりん、砂糖、醤油、すりおろし生姜を入れ、中火にかけて沸騰させる。

③ 沸騰したら、ほうれん草を加えて30秒ほど加熱する。

④ 水溶き片栗粉を作り、鍋に加えてとろみをつける。

⑤ 沸騰した状態で溶き卵を回し入れ、ふんわりとしたかき玉を作る。

⑥ 冷凍うどんを電子レンジで加熱し、器に盛る。

⑦ うどんに⑤のスープをかけ、完成。

食べたいものがないときでも栄養バランスをケアする簡単プラスワン術

食べたいものがない時は、簡単なものを一口でも食べるところから始めればよいのですが、それが続くとどうしても栄養バランスが乱れてしまいます。

健康的な食事を続けるために、食べたいものがないときに栄養バランスを整えるために意識したいポイントを紹介します。

冷凍野菜を使って栄養素と彩りアップ

栄養バランスを整えるためには、冷凍野菜を活用して栄養素と彩りをアップしてみましょう。

出来あいの食品や簡単に作れるレシピは、野菜が含まれていないことも少なくないため、食欲が低下しているときは野菜の摂取量も少なくなる傾向にあります。そのため、解凍してすぐに使える冷凍野菜を活用して、ビタミンやミネラル、食物繊維などを補給しましょう。

また、野菜をいれることで食事に彩りを足すことができ、見た目が華やかになるため、食欲が増す効果も期待できます。

市販のカット野菜やサラダチキンを活用

市販のカット野菜やサラダチキンなど、手軽に手に入る食品の活用も視野に入れましょう。これらの食品はコンビニでも手に入れることができ、そのまま調理に使えるため、簡単に栄養バランスを整えることができます。

しかし、カット野菜は製造の段階で洗浄、消毒をしているため、水溶性のビタミンやミネラルなどの含有量は生野菜よりも少なくなっています。

食欲がないときはとにかく手軽さ優先でこういった食品を活用しつつ、食欲が戻ってきたらより栄養価の高い生野菜の活用も考えてみましょう。

果物や乳製品を取り入れる

栄養バランスを整えるためには、果物や乳製品も取り入れてみましょう。

果物には、ビタミンやミネラルが、乳製品にはミネラルやたんぱく質が豊富に含まれています。今回紹介したような簡単に作れる料理は、うどんやおかゆ、そうめんなど炭水化物を多く含む食品を使うことが多いため、ビタミン、ミネラルが不足しがちになります。

また、温めるだけで食べられるような食品も、炭水化物や脂質が多い傾向にあります。果物や乳製品はそのまま食べることができて食事に取り入れやすい上に、不足しがちな栄養素も補給できるため、うってつけの食材です。

ぜひ普段の食事に取り入れて、栄養バランスを整えてあげましょう。

食欲不振に重大な病気の可能性はある?医師に診てもらうべきライン

「食欲がない」ことは、実は重大な病気のサインかもしれません。以下のような場合は、自分で判断せず医師に診てもらうようにしましょう。

1週間以上同じ状態が続く場合

食欲不振などが1週間以上続く場合は、早めに受診しましょう。

一時的な食欲不振であれば、身体的な疲労が原因であることも考えられます。しかし、症状が長く続く場合は何らかの疾患が原因かもしれません。改善が見られないと感じたら、早めに受診するようにしましょう。

急激な体重減少や強い倦怠感がある場合

食欲不振だけでなく、急激に体重が減ったり強い倦怠感を感じたら、すぐに受診しましょう。

食事の摂取量が減ると、身体の脂肪や筋肉をエネルギー源として消費するため体重が減少します。ただし、急激に体重が減少する場合は、食欲不振による摂取エネルギー量不足以外の問題があるかもしれません。もしくは、なんらかの疾患が原因で食欲が減退していることも考えられます。

同様に、強い倦怠感が見られる場合も何かしらの疾患が原因である危険性があるため、早々に受診しましょう。

自己判断せずに早めに受診する

食欲不振など、なにか身体に異変を感じた時は自己判断せずに早めに受診しましょう。

食欲の低下は、疲労やストレス、疾患など様々なことを原因として引き起こされます。なんとなく食欲がないというだけでも、その裏には重大な疾患が隠れているかもしれません。

「ストレスによる一時的なものだから」と自己判断をせず、異変がある時は早めに受診しましょう。

食べたいものがない場合は生活を見直して食事を工夫してみよう

食欲がなく、食べたいものがないと感じる時は、疲労やストレス、何かの疾患などが原因である可能性があります。

その原因を突き止めて対処するのはもちろん、食べたいものがないと感じる時は無理をせず、簡単に作れるメニューや出来合いのものを活用しましょう。

ただし、その生活が続くと栄養バランスの乱れも気になるため、今回紹介したような工夫をしながら、無理なく食事をしていきましょう。