拭き掃除は掃除の基本ですが、面倒に感じる方も多いでしょう。しかし、正しく拭き掃除を取り入れれば、掃除機などではキャッチしにくい細かい汚れや、頑固な油汚れも綺麗に除去でき、手軽に清潔な状態を保てます。
今回は、クリンネスト1級の資格を持つ私が拭き掃除の基本的な方法や、効率よく拭き掃除をするコツ、拭き掃除を習慣化するために便利なグッズなどを紹介します。拭き掃除で家の清潔を保ちたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
拭き掃除の種類
拭き掃除は、雑巾に水を含ませるかどうかで、乾拭きと水拭きに分けられます。それぞれの特徴を簡単に紹介します。
乾拭き
乾拭きは、乾いた雑巾やモップなどで、水分を含ませずに掃除をすることです。ほこりやゴミ、髪の毛など、乾いた汚れの溜まった部分の掃除に向いています。掃除機での掃除とは異なり、静かに掃除ができることや、ほこりやゴミを舞い上がらせることなく、汚れを取り除けるという特徴があります。
乾拭きでは水を使用しないため、いつでもサッと手軽に掃除ができるうえ、掃除機では取りきれなかった細かい汚れを除去できることがメリットです。
水拭き
濡らして絞った雑巾やモップで拭き掃除をする水拭きは、素材に付着したほこりや泥、食品汚れなどの掃除に向いています。適切に湿った雑巾やモップで拭けば、乾拭きでは落ちにくかった汚れも軽く除去できるため、清潔を保てます。
また、水拭きだけでは取れない頑固な汚れには、洗剤を使用した水拭きが効果的です。素材に洗剤をスプレーし、上から水拭きをする方法、雑巾やスポンジに洗剤を染み込ませて拭く方法など、状況により使い分けましょう。
実際に拭き掃除をする前に覚えておきたい、汚れの段階と適した掃除方法
拭き掃除をする際には、掃除箇所の汚れの段階を把握しておくと、適切な掃除方法を選択しやすくなります。汚れの段階と特徴について解説します。
汚れの段階①付着
最も軽い汚れの段階が、ほこりや髪の毛が乗っているだけの付着の段階です。表面に乗ったほこりや髪の毛を落とすには、乾拭きで十分といえます。
汚れの段階②吸着
付着していたほこりやゴミが水分を吸い、素材にくっついている状態になると吸着の段階です。吸着汚れは、硬く絞った雑巾で水拭きをしたり、湿ったモップで拭いたりすると綺麗になります。
汚れの段階③粘着
吸着汚れから一段階進むと、汚れが固まり、素材に粘りついた粘着状態となります。粘着段階の汚れは、水拭きだけでは短時間で落とすことが難しいため、洗剤を用いた水拭きが適しています。
洗剤が染み込んだ使い捨ての掃除シートを利用する方法もおすすめです。
拭き掃除で使う道具
汚れの段階は、時間が経過したり、水分を含んだりすることにより進みます。汚れの段階が進む前に、こまめに拭き掃除を行えば、手間をかけずに清潔な状態を保てます。
しかし、こまめに掃除するとはいっても、毎回雑巾を絞って準備するのは手間も時間もかかり、習慣化しにくいものです。拭き掃除を習慣化したい方は、家の各所、すぐ取れる場所に、簡単に拭き掃除ができる掃除用具を設置してみましょう。
拭き掃除に便利な道具を紹介します。
雑巾(布巾)・使い捨てシート
拭き掃除に使う雑巾は、使用用途により使い分けましょう。古布や古タオルを使いやすい大きさに切ったウエスや、使い捨ての掃除シート、フロアワイパーに装着するシートは、拭き掃除後に洗う手間がかかりません。
マイクロファイバークロスを洗面所に設置するのもおすすめです。気がついたときに、鏡や水栓を乾拭きするだけでもピカピカになり、清潔感が増します。
ハンディモップ
ハンディモップでの乾拭きは、棚の上やカーテンレール、ブラインドなど、高い位置にほこりやゴミが乗っている第一段階の汚れに適しています。すぐ手に取れる場所に設置しておけば、ほこりが目立ちやすい場所の掃除がサッと終わり、手間もかかりません。
ハンディモップのなかには、持ち手が伸縮するものもあるので、手の届きにくい場所の掃除にも便利です。
スクイージー
スクイージーは、水滴がついている部分の水を切る便利な道具です。入浴後のお風呂場の壁や鏡の水滴を取ったり、窓掃除に活用できたりします。
洗剤
頑固な汚れには、水拭きに洗剤をプラスしましょう。拭き掃除に使用する洗剤は、中性洗剤やアルコール、酸性洗剤など、汚れの種類や場所によって使い分けます。
ゴム手袋・バケツ
ゴム手袋は、手荒れや汚れから手を守りたいときに着用します。洗剤を使う拭き掃除や、寒い冬場にあると便利です。
またバケツは、雑巾を洗剤に浸したいときや、すぐに水道がない場所での掃除で活躍します。コンパクトに縮められる折りたたみ式のバケツを用意すれば、収納スペースに困りません。
クリンネスト1級が教える、拭き掃除のコツ
拭き掃除を効率的に進めるためのコツを紹介します。
乾拭きから始める
拭き掃除は、乾拭きから始めましょう。大量のほこりや砂がある場所では、先に水拭きをすると汚れが水分を含み、かえってほこりや髪の毛が取りにくく、広がりやすくなるためです。
念入りに綺麗にしたい場所では、乾拭きで乾いた汚れを取り除き、そのあとで水拭き、最後に乾拭きで水分を拭き取れば、より綺麗に仕上げられます。
基本は「コ」の字型に奥から手前、上から下に拭く
拭き掃除で使う雑巾は、持ちやすいように四角く折り畳み、「コ」の字を描くように動かします。少し重ねながら奥から手前、上から下に「コ」の字型に拭くと、同じ場所を何度も拭いたり、拭き残したりすることがなく、全体を効率的に綺麗にできます。
テーブルや棚の上など狭い範囲を拭く場合には、最初に枠の部分を四角くなぞるように拭き、内側を「コ」の字に拭くとスムーズです。
汚れの性質に応じて洗剤を選ぶ
拭き掃除に使う洗剤は、汚れの性質や場所に合わせて選びましょう。汚れの性質を中和させるような洗剤を選ぶことがポイントです。
手垢や食べ物をこぼした汚れなどの油汚れは酸性の汚れです。重曹やセスキ炭酸ソーダ、アルカリ電解水など、アルカリ性の洗剤を使用すると簡単に落ちます。水垢や石鹸カスなどは、アルカリ性の汚れです。クエン酸やお酢などの酸性洗剤が向いています。
日常の軽い汚れや素材を傷めたくない箇所は、中性洗剤を薄めて利用するとよいでしょう。水栓やドアノブ、テーブルの上などを除菌したい箇所には、アルコールを使用した拭き掃除もおすすめです。
場所別拭き掃除のポイント
場所別の拭き掃除のポイントを紹介します。
フローリング
フローリングは、拭き掃除のなかでも、広い範囲の掃除が必要となる箇所です。毎日のフローリング掃除は乾拭き、テーブルの下など汚れの多い箇所や、念入りに掃除をしたいときは水拭きをするなど、使い分けてもよいでしょう。
普段のフローリングの掃除には、使い捨てシートを装着できるフロアワイパーが便利です。フロアワイパーを使えば、立った姿勢のまま掃除ができるので、体への負担も軽減します。
▼関連記事
・汚れ・ゴミ別のフローリング掃除方法を実践!掃除のプロの豆知識でより綺麗に!
畳
畳は水分に弱く、湿度が上がるとカビの原因になる場合があります。畳の拭き掃除は、基本的に乾拭きを選ぶのがおすすめです。どうしても汚れが気になる場合には、硬く絞った雑巾で水拭きしたあと、乾いた雑巾で乾拭きし、しっかりと乾かします。
畳は「コ」の字型ではなく、畳の目に沿って丁寧に拭くようにしましょう。
窓
窓は内側と外側で、汚れの性質が異なる場合があります。外側は砂ぼこり、内側は手垢汚れが多いです。どちらもひどい汚れでなければ、水拭きのみで落とすことが可能です。
濡らして軽く絞った雑巾で、上から「コ」の字型に拭いたら、スクイージーで縦方向に水を切ります。スクイージーを使う場合には、一列水を切るごとに雑巾で水分を拭き取ると、綺麗に仕上げられます。
窓の掃除は水分が上から下に滴れやすいため、内側の窓掃除をするときには、窓の下に養生用の雑巾を敷くのがおすすめです。
キッチン
効率よくキッチンの掃除をするには、コンロ部分の壁、カウンター、床の3つのパートに分けて考えます。小物類が設置されている場所は、小物をすべて1箇所にまとめ、上から下、奥から手前へ拭きましょう。
キッチンの汚れは、油汚れが中心です。油汚れの目立つコンロの上や周囲は、中性洗剤や弱アルカリ洗剤がおすすめです。洗剤使用後は、洗剤の成分が残らないよう、水拭きでしっかりと拭き取りましょう。
IHコンロのキッチンは掃除がしやすいため、調理のたびに布巾やシートなどで軽く水拭きするようにすれば、汚れが定着しにくく、楽に綺麗な状態を保てます。
▼関連記事
・一人暮らしにIHクッキングヒーター(IHコンロ)は最高の設備!?料理人歴25年の私がおすすめする理由
洗面所(鏡)
洗面所の鏡は、飛び散った水分やくもりが目立ちやすい場所です。上から下へ「コ」の字型に水拭きしたあとに、乾拭きをします。マイクロファイバークロスは拭き跡が残りにくく、乾拭きが不要で時短につながるでしょう。
鏡が輝いていると、洗面所全体が明るく見えます。鏡の掃除が終わったら、角度を変えながら、くもりが残っていないかチェックしてみましょう。
▼関連記事
・家庭で簡単にできる!掃除のプロが教える、水垢の落とし方と予防方法
トイレ
トイレは汚れが気になる場所であるだけに、定期的に拭き掃除をすることが大切です。便器周囲の拭き掃除には、二度拭き不要のトイレ掃除専用のシートを利用すると便利でしょう。
また、トイレでは毎回脱ぎ着をするため、ほこりが溜まりやすい箇所でもあります。ほこりの目立つ場所は、乾いたトイレットペーパーでこまめに乾拭きすると、綺麗な状態を保てます。
正しい拭き掃除で部屋を綺麗に保とう!
今回は、クリンネストが拭き掃除の基本的な考え方や、効率よく拭き掃除をするコツ、便利なグッズなどを紹介しました。拭き掃除は少し手間がかかるイメージがありますが、次のポイントを押さえれば、簡単に綺麗な状態をキープできます。
・乾拭きから最初に始める
・「コ」の字型に、上から下、奥から手前に拭く
・汚れに合わせて洗剤を選ぶ
ぜひ、拭き掃除を日々の生活に取り入れてみてください。