【管理栄養士監修】一人暮らしにおすすめな「ストック食材」とは?活用するメリットと簡単レシピ

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一人暮らしを始めると、食事の準備が思っていた以上に大変だと感じる方も多いはず。忙しい毎日の中で栄養バランスの取れた食事を作るのは簡単ではありませんが、そんな時に強い味方となるのが「ストック食材」です。

ストック食材とは、保存期間が長く、常備しておくことで様々な料理に活用できる食材のことです。これらを上手に活用することで、一人暮らしの食生活を大幅に改善できます。

この記事では、そんなストック食材として置いておくのにおすすめの食材や活用方法について紹介していきます。

なお、ストック食材は場所を取るというデメリットがあります。引越しを考えている方は、この機会にキッチンが広い物件を選んでみませんか?

一人暮らしにストック食材が便利な理由

一人暮らしでは、収納場所が少なかったり外食が多くなって食材が使い切れなかったりと、せっかく買った食材を無駄にしてしまうことも少なくありません。そんな時に有用なのが、長期保存ができていつでも使えるストック食材です。

実際に、ストック食材にはどんなメリットがあるのかについて紹介します。

買い物の頻度が減るから時間と手間を節約できる

ストック食材の最大のメリットは、買い物の頻度を大幅に減らせることです。週末や休みの日にまとめて購入しておけば、仕事帰りにスーパーに寄る必要がなくなり、平日の食事の準備が楽になります。

特に、残業が多い職場で働いている方や、スーパーの営業時間内に帰宅できない方にとって、この時間短縮効果は大きいはずです。また、雨の日や体調がすぐれない日でも、家にあるストック食材だけで食事を作れるため、健康的な食事を継続するためにも有用です。

家に食材がない時につい外食してしまうという方は、ストック食材を活用すれば外食頻度を減らせるため、経済的にもメリットが大きいです。

食材を無駄にしにくく経済的に使える

一人暮らしでは食材を使い切れずに腐らせてしまうことも多いですが、ストック食材はそうなってしまう可能性が低いです。

一人暮らしをすると、こまめに買い物に行くのが面倒でつい買いすぎてしまいますが、使い切れずに腐らせてしまうなんてことも珍しくありません。特に野菜類は一人分にしては量が多く、腐らせてしまうことで結果的に食費がかさむ原因にもなります。

しかし、ストック食材なら長期保存が利くため、急な予定変更で自炊できなくなっても安心です。

セールのタイミングを狙えば都度買いより経済的

ストック食材は特売日やセールのタイミングでまとめ買いすることで、食費を節約できます。スーパーでは、特定の食品を安く購入できるセール日が設けられていることが多いため、ストック食材がそれに該当する日に購入しましょう。

また、業務用サイズの商品を購入すれば、単価を抑えられますし、ネット通販を活用すればクーポンの利用などでより安く購入することが可能です。

常温保存OK!一人暮らしにおすすめのストック食材

常温で長期保存できる食材は、冷蔵庫の容量が限られている一人暮らしにとって特に有用です。これらの食材を上手に活用すれば、冷蔵庫のスペースを有効活用しながら、バランス良く栄養を摂取できます。

ここからは、おすすめのストック食材について紹介します。

パスタ・乾麺類

パスタや蕎麦、うどんなどの乾麺類は、非常に安価で炭水化物の摂取源としても優秀です。

乾麺類は常温保存ができ、賞味期限が3年と非常に長いです。そのため、買い溜めしておいても全く問題ありません。

また、昨今お米の価格が上昇しているため、麺類をうまく活用することで食費を抑えることもできます。

ちなみに、全粒粉のパスタなどを選べば、食物繊維やビタミンB群も豊富に摂取できます。これらの栄養素は野菜類に多いため、野菜の摂取が少ないと感じる方には特におすすめです。

また、茹で時間が短いものを選べば調理時間も短縮でき、忙しい平日の食事作りにも重宝します。

ツナ缶・サバ缶

ツナやサバなどの魚の缶詰はタンパク質とn-3系脂肪酸を手軽に摂取できる食材です。タンパク質は、筋肉をはじめとした身体の組織をつくる栄養素です。

一人暮らしをすると、つい作るのが簡単な麺類や丼ものなど主食に偏った食事をしてしまう方も多いはず。そんな方には、タンパク質を摂取できる魚の缶詰がおすすめです。

また、魚に含まれるEPAやDHAなどのn-3系脂肪酸は、動脈硬化の予防などにも効果を発揮するため、積極的に取り入れて欲しい食材でもあります。水煮タイプを選べばカロリーが低い点も嬉しいポイントです。

レトルトごはん

レトルトごはんは、忙しい日の主食として非常に便利です。

一人暮らしの場合、炊いたお米を一度で食べ切るのは難しく、余ったご飯の使い道にも困ることが多いです。そういった場合は、レトルトご飯を活用することで手間を減らすことができます。

最近は、白米だけでなく玄米や雑穀米のレトルト商品も増えており、食物繊維やミネラルの摂取源としても用いることができます。

また、ついついご飯を食べすぎてしまうという方は、1パックあたりの量が決まっているレトルトご飯を用いることで食べ過ぎを防ぐことも可能です。

ドライ納豆・高野豆腐

大豆製品は植物性タンパク質が豊富な食品です。納豆や豆腐は発酵、加工により消化吸収がされやすいというメリットもあります。

また、どちらも乾燥させた食品であるため日持ちもしやすく、様々な料理にアレンジできます。

トマト缶・カット野菜缶

トマト缶やコーン缶などの野菜の缶詰は、手軽にビタミンやミネラルを摂取できる便利な食材です。

カット野菜缶は下処理済みのため調理時間を短縮でき、一人暮らしでは使い切りにくい野菜も適量で使用できます。

また、トマトやコーンは料理に色味を演出するためにも使えるため、料理のクオリティを上げるためにも有用です。

冷蔵保存で日持ちする便利な食材・調味料

冷蔵庫で比較的長期保存できる食材を常備しておけば、他の食材と組み合わせることで様々な料理に応用ができます。

実際に、どういった食材や調味料を常備しておくのが効果的なのでしょうか。

卵は必須アミノ酸をすべて含む栄養価が高い食品です。

冷蔵保存で2〜3週間持つ上に、茹で卵、目玉焼き、炒り卵など様々な料理に応用でき、調理も比較的簡単なため、一人暮らしにおすすめの食材です。

チーズ

チーズはカルシウムとタンパク質を効率的に摂取できる食品です。特に水分量が少ない硬めのチーズは保存性が高い上に、少量でも満足感を得られます。

一人暮らしだと乳製品の摂取量が減り、カルシウム不足になる可能性もありますので、牛乳やヨーグルトが苦手な方などに特におすすめです。

味噌・豆板醤

味噌や豆板醤などの発酵調味料は、塩分濃度が高いため保存性が高く、日持ちします。これらの調味料は、料理に深みをもたらしてくれるため、味付けのメインとして用いるのはもちろん、隠し味で活用しても面白い調味料です。

ただし、料理をあまりしない方は使い切れないことも多い調味料なので、使用頻度などを考えて購入するのがおすすめです。

カット野菜(真空・密閉パック)

真空パックのカット野菜は生野菜に比べて保存期間が長く、一人分にちょうど良い量で販売されています。

キャベツの千切りやミックスサラダなどは下処理済みのため、野菜のカット、洗浄といった調理時間を短縮できます。

ただし、水に溶けやすいビタミンCなどの栄養素は、生野菜に比べると少なくなっています。野菜摂取のすべてをカット野菜で賄うのではなく、時短のために上手く組み合わせる意識を持ちましょう。

キムチ

キムチは野菜などを乳酸菌によって発酵した食品で、乳酸菌の効果などにより腸内環境の改善にも役立ちます。

日持ちがする食品ではありますが、冷蔵庫に入れておくと発酵が進み、酸味が増えてきますので、適した時期に食べたほうが美味しく楽しむことができます。

冷凍保存で一人暮らしに役立つ冷凍ストック食材

冷凍食材は長期保存が可能で、必要な分だけ使用できるため一人暮らしには非常に便利です。昨今は冷凍技術の向上により、栄養価や食感も生鮮食品と変わらない品質を保っているものも多いです。

使い勝手や価格の面から、以下のような食材がおすすめです。

冷凍野菜ミックス

冷凍野菜は、保存期間が短い野菜のデメリットを解消した、使い勝手のよい食品です。

また、ミックス野菜なら複数の野菜を一度に摂取でき、ビタミンやミネラル、食物繊維をバランス良く補給できます。

生の野菜を調理しようとすると、皮をむいたり細かくカットしたりと手間が多いので、すでに下処理されている冷凍野菜ミックスは手軽でおすすめです。

冷凍ひき肉・鶏むね肉

冷凍の肉類、特に鶏肉はタンパク質の供給源として優秀です。

ひき肉は短時間で解凍・調理でき、ハンバーグや炒め物など様々な料理に活用できます。鶏むね肉は低脂肪高タンパクなため、トレーニングをしている方などにもおすすめです。

ただし、分厚い状態で解凍する際は、中まで解凍されていない状態になることが多く、加熱不足による食中毒の原因となるため要注意です。

冷凍うどん・チャーハン

冷凍のうどんやチャーハンは、温めてすぐに食べられる手軽さが魅力です。

冷凍うどんは電子レンジで加熱して市販のタレなどをかければすぐに食べられますし、チャーハンに至っては温めるだけで食べられます。また、野菜やお肉を加えることで簡単にバランスの整った食事にすることも可能です。

特に冷凍うどんは安価な食品のため、お財布に優しい点も嬉しいです。

冷凍フルーツ

冷凍フルーツは、生鮮フルーツと比べて手軽かつ安価な点が魅力です。

生鮮フルーツは価格も高く、皮を剥いたりカットしたりと食べるまでに手間がかかります。一方、冷凍フルーツであれば下処理されているのですぐに食べられる上、食べきりサイズで安価なことが多いです。

またヨーグルトに混ぜたり、スムージーにしたりとアレンジもしやすいため、時間のない朝食にも活用できます。

管理栄養士監修ストック食材を使った一人暮らし向け簡単レシピ

ここまでストック食材を多く紹介してきましたが、それらを活用した簡単で栄養バランスの良いレシピを5つ紹介します。

どれも簡単に作れて一人分の分量でも作りやすい内容になっているのでぜひ参考にしてみてください。

ツナとトマト缶のパスタ

■材料

・パスタ(お好みの種類)…100g

・ツナ缶(オイルまたは水煮)…1缶

・トマト缶(カットタイプ)…1/2缶

・にんにく 1片 鷹の爪(輪切り)…少々

・オリーブオイル…小さじ2

・塩(茹で用)…少々

・塩 こしょう…少々

■作り方

①多めのお湯を沸かし、塩をひとつまみ入れ、パスタを表示時間通りに茹でる。

②フライパンにオリーブオイルを熱し、皮を剥いてスライスしたにんにくと、鷹の爪を炒めて香りを出す。

※辛さを調節する場合は、鷹の爪のタネを取れば辛さが少なくなります。

③香りが出たら、ツナ缶とトマト缶を加え、中火で軽く煮詰める。

④茹で上がったパスタと少しの茹で汁を加え、全体を絡め、塩こしょうで味を調える。

⑤器に盛り付けて完成。

サバ缶と冷凍野菜の炒め物

■材料

・サバ水煮缶…1缶

・冷凍野菜ミックス…150g

・味噌…大さじ1

・ごま油…小さじ1

・しょうゆ…小さじ1

・おろししょうが…小さじ1

■作り方

①冷凍野菜ミックスを耐熱容器に入れて電子レンジで加熱し、軽く解凍しておく。

②フライパンにごま油を熱し、野菜ミックスを炒める。

③サバ缶を汁ごと加え、味噌、しょうゆ、おろししょうがを加えて炒め合わせる。

④全体がなじんだら器に盛り、ご飯にのせても美味しい。

高野豆腐の卵とじ

■材料

・高野豆腐(乾燥)…2枚

・卵…2個

・出汁…200ml(だしの素+水でOK)

・しょうゆ…小さじ2

・みりん…小さじ2

・ネギ(小口切り)…適量

・キムチ(お好みで)…適量

■作り方

①高野豆腐はぬるま湯で戻し、軽くしぼって食べやすい大きさに切る。

②鍋に出汁、しょうゆ、みりんを入れて加熱し、高野豆腐を加えて煮る。

③ネギを小口切りにし、卵は割りほぐしておく。

④味がしみたら溶き卵を回し入れ、ふんわりととじる。

⑤火を止めてネギやキムチを加えて完成。

冷凍チャーハンの中華風アレンジ

■材料

・冷凍チャーハン…1人前

・冷凍ミックス野菜…100g

・卵…1個

・豆板醤…小さじ1

・ごま油…小さじ1

■作り方

①冷凍チャーハンとミックス野菜を冷凍のままフライパンに入れ、中火で炒める。

②卵を溶いて加え、炒り卵状になるように混ぜながら加熱する。

③豆板醤とごま油を加えて全体を炒め合わせる。

④香りが立ったら器に盛って完成。

冷凍フルーツスムージー

■材料

・冷凍フルーツ(ミックスベリーなど)…100g

・ヨーグルト(無糖)…100g

・はちみつ…小さじ1

・牛乳または豆乳…50ml

■作り方

①すべての材料をミキサーに入れる。

②なめらかになるまで攪拌する。

③グラスに注ぎ、好みでミントを添えて完成。

ストック食材の賞味期限と管理のコツ

ストック食材は一人暮らしに便利ですが、雑に保管しておけばいいわけではありません。安全においしく利用するために、適切な保存方法を知っておきましょう。

常温・冷蔵・冷凍それぞれの保存適温と注意点

常温保存は15〜30度の冷暗所が理想的だと言われています。ただし、直射日光や高温多湿を避け、缶詰類は凹みや錆がないか定期的にチェックしましょう。

冷蔵保存する場合は4度以下を保ち、開封後の食材は密閉容器に移し替えて保存しましょう。

冷凍保存の際は−18度以下になっていることを確認し、冷凍庫の開閉回数を最小限に抑えて温度変化を防ぐことが重要です。また、熱いものを冷凍庫に入れないなどの工夫も重要です。

開封後の使用期限と早めに使うべき食材の見極め方

開封後の食材は、表示されている賞味期限に関係なく早めに使用しましょう。開封後の明確な期限はありませんが、基本は開封後数日以内に食べ切れると安心です。

特に、要冷蔵、要冷凍のような食品は注意が必要です。また、冷凍食材は一度解凍したら当日中に使い切ることが重要です。

腐敗や劣化を見抜くポイント

食材の異常を見抜くポイントは、見た目、におい、触感の変化などです。カビの発生、異臭、ぬめり、変色などが見られた場合は使用を避けましょう。

特に肉類や乳製品は細菌が繁殖しやすいため、少しでも異常を感じたら処分しましょう。

一人暮らしこそストック食材で手間なく快適な食生活を

一人暮らしでバランス良く食事を摂るのは簡単ではありません。しかし、ストック食材を上手に活用すれば、時間と手間を節約しながら栄養バランスの良い食生活を送ることができます。

今回紹介したレシピや管理方法を参考に、自分のライフスタイルに合ったストック食材を見つけて、一人暮らしの食生活をより豊かで快適なものにしていきましょう。