「マンションの足音がうるさくて悩んでいる…」日常のストレスに生活音、とりわけ足音は気になりだすと止まらないもの。しょうがない、と我慢している人も多いのではないでしょうか。しかし、実はさまざまな解決策があることはあまり知られていません。
今回は、足音が響く原因から、上階の足音が気になる方への具体的な対応手順、そしてあなたも実践できる足音対策までを詳しく解説します。さらに、足音が気にならない静かな暮らしを実現できる物件選びのポイントもご紹介します。
快適なマンションライフを取り戻したいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
足音がうるさくひびく原因
足音は聞こえても嫌なものであり、聞かれるのもいい気分がするものではありません。そのため、足音がひびいてしまう原因を知ることは賃貸物件で生活をするうえで重要といえるでしょう。
なぜ、足音がひびいてしまうのか。まずはその原因に迫ります。
そもそもの歩き方に問題がある
階下への配慮が少ない歩き方をしていることで、足音がひびいてしまうことがあります。実家が一戸建てだった人などは、意識することがなかったため無意識のうちにしてしまっている可能性があるでしょう。
ベタ足で着地したり、ドタバタと走るような歩き方をしていたりすると、足音はどうしても階下にひびいてしまうものです。一度自分の歩き方も確認してみるとよいでしょう。
子どもの歩き方
子どもは走り回ってしまったり、前述の通りベタ足で歩いてしまったりするため、足音がひびくことがあります。もちろん、すべての子どもの足音がうるさいというわけではありませんが、子どもに静かに歩けというほうが無理なものです。
子育て世帯には子どもの足音で階下の住民から怒られるのではと、びくびくしている人も多いのではないでしょうか。
ペットの足音
ペットの歩く音も気になることがあります。なぜなら、ペットは静かに歩くのですが爪がフローリングにあたることがあり、そのときに独特の音がしてしまうからです。
ペットとして飼育されることの多い犬や猫に対しても、ネイルケアは欠かさないようにしましょう。
建物の構造上の問題
マンションやアパートは、大きな箱を「部屋」という小さい箱に区切ったものです。そのため、生活音や足音が絶対に階下や隣室に聞こえない、ということはありえません。もちろん構造による防音性能の差はありますが、鉄筋コンクリート造だから絶対に大丈夫、とはならないのです。
どのような構造であっても、大きな音は聞こえ、聞かれてしまうもの。構造面を重視することも間違いではありませんが、原因という観点でみれば「使い方」に気を付けることが重要といえるでしょう。
上の階の足音がうるさい場合の対処法
賃貸物件に住んでいると、上の階に住んでいる人の足音が気になることがあります。もちろん一過性のものであれば良いのですが、夜も眠れないほどであれば本格的な対策が必要になります。
ここからは、足音が気になるときの対策手順を紹介します。
まずは家主さんや管理会社へ相談する
一番最初にするべきは、家主さんか管理会社へ相談することです。具体的に足音が聞こえる時間帯や頻度を伝え、必要なら実際に様子を見てもらいましょう。注意喚起から始めることで、人間関係を悪化させずに解決できる可能性が高まります。
くれぐれも直接注意するのは避けてください。人間関係が悪化したり、トラブルに発展するおそれがあります。それに、足音が必ずしも真上の人とは限りません。勘違いはトラブルを大きくし、問題解決を先送りすることにもなりかねないからです。
まずは家主さんか管理会社に対応を一任し、進捗状況を連絡してもらうように依頼しましょう。とはいえ、家主さんや管理会社に当たり散らすのはご法度です。真摯な対応をお願いするときは、こちらも真摯な態度で臨みましょう。
お手紙を投函してみる
家主さんや管理会社による注意喚起でも改善が見られないときは、より警告色の強い文書での注意換気を行います。
もっとも効果的なのは、家主さん・管理会社・入居者の連名で注意文書を送る方法です。もちろん、このような書面の送達に至るまでには、関係者の現地確認や一定期間の経過観察も完了していることが求められます。
書面の内容は家主さんや管理会社に原案を作成してもらい、必要に応じて訂正する方法が望ましいでしょう。対応の方法や解決までの道筋には思うところがあるはずですので、適切な表現やニュアンスを選ぶようにしてください。
家主さんや管理会社同席のもと直接話をしてみる
文書による注意喚起でも改善がみられないときは、いよいよ直接の話し合いが必要です。このときは、必ず家主さんや管理会社にも同席してもらうようにしてください。
実際に上階を歩いてもらい、階下でどのくらい響いているかを上階の人が聞くことで、リアルな足音被害を体感してもらうことができます。
歩き方や生活音は一朝一夕で治るものではありません。そのため一定の猶予期間も必要であることも事実です。足音問題はストレスの原因ではありますが、お互いに建設的な話し合いを心がけましょう。
不動産業界25年の私が経験した足音に関するトラブルエピソード
ここでは、業界歴25年の著者が実際に体験した足音トラブルとその結末を紹介します。いずれのトラブルに共通しているのは、関係者の協力があって解決できたということ。足音問題は当事者だけの問題と捉えては解決できません。その点にも注意しながらお読みください。
上階の人も実は足音問題で悩んでいた
最初に紹介するのは、子どもの足音が気になるとして相談いただいた案件です。話を聞けば、昼だけでなく夜も子どもが走り回る足音がひびいて生活に支障をきたしている、とのお悩みでした。
上階の住民へ注意喚起を兼ねてご連絡したところ、思わぬ回答が返ってきました。「実は、子どもが走り回っているため下の階の人に迷惑がかかっているのではと気になっていた。父親が夜遅くに仕事から帰ってくると子どもが起きてしまい、遊んでくれると思って走り回ってしまう。夜遅いため怒ることもできずに悩んでいた」というものです。
上階の住民は引っ越しも考えていたようですが、立地・間取り・家賃などから適した賃貸物件も見つからず、ただひたすらもやもやしながら過ごしていたとのことでした。
私から以下の条件を提案してみました。
・1階が来月に退去するため、そちらに引っ越してはどうか?
・原状回復は免れないが、新居の敷金や礼金は免除し、保険や保証会社はスライドさせるため追加の費用負担はない
引っ越しと言われると別の賃貸物件へ移転することをイメージしますが、棟内移動という選択肢も実は有効な手なのです。この提案には家主さん・入居者の全員が賛成し、結果的に人間関係もさらに良好になり、最小限の費用負担で問題が解決しました。
上階の人の工夫で問題が解決した
ドアの開閉・話し声・足音など生活音全般が気になる、とのことで相談をいただき、上階の人へコンタクトをとりお話を伺いました。
聞けば、ご夫婦ともに賃貸生活が初めての子育てファミリー世帯。人生で話し声や足音を気にしたこともないとのことで、少々びっくりした様子でした。ご主人様に上階を歩いてもらい、奥様に階下で音を聞いてもらうと、「申し訳ありません」の一点張り。
私からは、気を付けてくださいと口頭で注意喚起を行いましたが、やっぱりすぐの改善は見られませんでした。そこで、音が響きやすいリビングにはマットを敷き、ドアにはクッション性のあるシールを貼り、玄関ドアはクローザーの調整を施し、可能な限りの生活音対策を指示指導した結果、足音を含む生活音が劇的に改善されました。
この解決方法では一定の費用負担が上階の人に生じますが、生活音はグッズによる対策も効果的です。次項では、これら生活音の減少に役立つグッズを紹介します。
自分の足音に関するトラブルを防ぐ方法・グッズ
足音は聞こえるのがストレスですが、実は自分の足音が階下の住民に対してストレスを与えている可能性もあります。そのため、これから紹介するグッズを活用することで、階下への足音を軽減させることを検討してみてください。
すでに、足音トラブルに悩まされている人も検討してみることをおすすめします。
床に敷物をする
足音が目立つ箇所の床に防音性のあるものを敷くことで、階下への足音を軽減させることができます。効果のある敷物は以下のようなものです。
・カーペット
カーペットを敷くことで直接的な振動を防止することが可能です。広い範囲をカバーすることができるほか、床を傷つけることもありませんので、原状回復にも役立つでしょう。
・ラグ
カーペットほど広い範囲をカバーできませんが、部分的な消音効果が期待できます。机や椅子の移動音のほか、リビングの空いたスペースを埋めたいときなどは、ラグを用いるとよいでしょう。
・パネルマット
子どもがいる世帯には必須のマットです。厚みが約1cmあるため、子どもが遊ぶコーナーや子ども部屋に設置するのがよいでしょう。また、30cmのマットを組み合わせることができるため、カスタマイズしやすい点も魅力です。
スリッパを履く
足音は、裸足で歩くことでもっとも階下へ振動が伝わります。また、歩き方はすぐに矯正できないため、足から伝わる衝撃を和らげる点でもスリッパには消音効果があるといってよいでしょう。
足音対策を目的としてスリッパを購入するときは、消音機能に注目してください。足裏が固いものでは思うような消音効果が期待できないからです。また、子ども用の消音スリッパも販売されていますので、家族全員で揃えてみてはいかがでしょうか。
敷物と合わせることでさらに足音を軽減させることができますので、あわせて検討してみてください。
生活音の発生を伴う習慣・態度を改める
グッズやツールではありませんが、足音をはじめとした生活音対策の基本は、やはり「普段から気を付けること」です。そのため、生活習慣や態度を見直すことが重要です。
歩き方・ドアの開け閉め・話し声の音量など、気を付けるべきポイントは多数あります。音の聞こえ方や気になる度合いは人それぞれですので、過剰に気を付ける必要はありません。しかし、共同生活を営むために必要な最低限のルールとマナーは心得ておいて損はないでしょう。
足音が気になる人が引越しで失敗しないためのポイント
賃貸物件で足音でストレスを感じたくない…そうお考えの人はお部屋探しでどのように気を付けるとよいのでしょうか。ここでは、お部屋探しの段階からできる足音トラブルを回避する方法を紹介します。
複数回内見をする
生活音は「人が生活している時間帯」に発生するものです。そのため、内見を複数回行うことで、生活音がどの程度発生するかを引っ越し前に把握することができます。特に内見する時刻をそれぞれ変えることで、実際の生活の中のどの時間帯に懸念が発生するのかがわかりやすくなります。
上階や下階にどのような人が住んでいるかは、守秘義務があるため教えてくれることはありません。そのため、複数回の内見から事情を知ることは非常に重要であるといえるでしょう。
最上階を選ぶ
どうしても足音が聞こえるのは耐えられない、という人は最上階に限定してお部屋探しをするのがよいでしょう。上の階がそもそも存在していないため、足音の聞こえようがないからです。
ただし、静かな環境を求めて最上階を選ぶときは、屋上の様子を管理会社に聞いておくとよいでしょう。なぜなら、屋上にはエアコンの室外機がまとめて設置されていることがあるからです。
居住用の賃貸物件で屋上に騒音の原因になる設備機器が設置されていることは考えにくいですが、本末転倒な結果にならないよう、事前の確認は徹底しましょう。
1階を選ぶ
子どもがいる世帯では、足音が階下に伝わることでクレームやトラブルに発展することが懸念されます。そのため、1階やピロティの2階部分のような「物理的に下に誰もいない」ところを選択することで、階下への騒音を気にする必要性がそもそもなくなります。
戸建て賃貸を選ぶ
足音などの生活音のトラブルを排除するために、「戸建て賃貸」という選択肢があります。戸建て賃貸では、そもそも隣接する住戸がないためトラブルに発展しません。音が聞こえるのも聞かれるのも嫌だ、という人は戸建て賃貸を選ぶとよいでしょう。
うるさい足音は正しく対策・自衛しよう
今回は、マンションの足音トラブルに悩んでいる人に向けて、その原因や具体的な解決策、そして快適な住まい選びのポイントまで詳しく解説しました。
足音が響く原因は、建物の構造や生活スタイルなどさまざまです。上階の足音が気になる場合は、まずは大家さんや管理会社に相談することが大切です。具体的な時間帯や頻度を伝え、状況を共有しましょう。
解決策としては、マットなどの敷設・スリッパを履くなどの手軽な対策から、引っ越しを視野に入れた方法まで、さまざまな選択肢があります。
自分自身も足音に気を付けることは、円滑な賃貸生活を送る上でとても大切です。歩く速度を落としたり、柔らかい素材のスリッパを履いたりするなど、小さな心がけが大きな効果を生むことがあります。
また、静かな物件を選ぶことも、快適な暮らしを実現する一つの方法です。物件を選ぶ際には、複数回にわたって内見を行い生活音の度合いをチェックしておきましょう。
この記事が、あなたの足音トラブルの解決に少しでもお役に立てれば幸いです。快適な賃貸物件生活を送るために、ぜひ参考にしてみてください。