お茶の淹れ方の一つである水出し。麦茶や緑茶で実践している方は多いですが、紅茶で実践したことはありますか?
水出し紅茶は、お湯で淹れるのに比べ、苦味や雑味が少ないすっきりとした味わいになることが特徴です。今回は、そんな水出し紅茶の魅力や簡単な淹れ方、アレンジレシピなどを管理栄養士が紹介していきます。
水出し紅茶の魅力
あまり水出しをするイメージのない紅茶ですが、実際にどのような魅力があるのでしょうか?水出し紅茶の魅力に迫っていきます。
お湯を沸かす必要がなく手軽
水出し紅茶の一番の魅力は、お湯を沸かす必要がなく手軽に作れるという点です。
お湯で紅茶を淹れるためには、お湯を沸かす時間が必要になり、それが億劫に感じる方もいるのではないでしょうか。そういった方は、ぜひ水出しの紅茶を試してみてください。
水出しなら、事前に作っておくこともできる上、一度に大量に淹れておくことも可能です。
渋味が抽出されづらく優しい味わいが楽しめる
水出し紅茶は、お湯出しに比べて渋味が抽出されづらく、優しい味わいが楽しめるというメリットもあります。
紅茶に含まれている渋味成分であるタンニンは、お湯出しよりも水出しの方が抽出量が少ないため、水出しの紅茶の方が渋味が抑えられる傾向にあります。
逆に、紅茶の味を決める要素の一つである旨み成分のアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸、テアニンなど)は、水出しの方が抽出量が多いため、味が良くなるという特徴もあります。
カフェインの抽出が抑えられるのでデカフェにもおすすめ
他にも、水出しではタンニンと同様にカフェインの抽出も抑えられるため、デカフェにもおすすめできるというメリットもあります。デカフェとは、カフェインを含む食品からカフェインを抜くことを指し、最近では「カフェインの摂取量を減らす」という意味でも用いられる言葉です。
実は、紅茶には100mlあたりに30mgと意外とカフェインが含まれており、この量はコーヒーの約半分程度と言われています。カフェインには覚醒作用があるため、集中したいときなどには効果的ですが、過剰摂取によりめまいや不眠、下痢などの症状を引き起こす可能性があります。
そのため、紅茶の過剰摂取には注意が必要ですが、カフェインが気になる場合には水出しの紅茶を活用することでカフェインの摂取量を減らすことができます。
茶葉を使って水出し紅茶を作る場合

水出し紅茶のメリットについて紹介してきましたが、ここからは実際に茶葉を使って水出し紅茶を作る方法を解説していきます。
準備するもの
まずは、以下のものを準備しましょう。
・茶葉
お好みの紅茶の茶葉を選びましょう。アールグレイ、ダージリンなどは初心者の方にもおすすめです。
・容器(抽出用と保存用でそれぞれ)
広口のガラス瓶やピッチャーなど、茶葉が十分に広がり、茶葉が取り出しやすく密閉できるものがいいでしょう。抽出と保存が一つでできる水出し用の容器もあります。
・水
浄水器を通した水やミネラルウォーターを使うとより美味しくできます。
・茶こし
茶葉を取り出すときに使用します。
・計量スプーン
茶葉の量を測るために使用します。
水出し紅茶の作り方
茶葉の量を決める
まずは、入れる茶葉の量を決めましょう。一般的に、水500mlに対して茶葉10gが目安ですが、濃いめ、薄めが好きなどお好みで調整してください。茶葉10gと聞くとかなり濃くなりそうなイメージかもしれませんが、水出しの場合は比較的あっさり目に仕上がります。
容器に茶葉を入れる
清潔にしておいた容器に茶葉を入れ、その中に冷水を注ぎ入れます。このとき、勢いよく水を入れてしまうと、茶葉が刺激され、雑味が出る可能性があるため、ゆっくり入れるようにしましょう。
冷蔵庫に保管する
水を入れ終わったら、容器に蓋をして冷蔵庫で8〜12時間程度抽出しましょう。水や茶葉の量、お好みの濃さなどによって抽出時間を調整するのがおすすめですが、分かりづらい場合は、「一晩抽出する」と覚えておきましょう。
茶葉を取り出し容器をうつす
抽出が終わったら、茶こしで茶葉を丁寧に濾し、別の清潔な容器に紅茶を移しましょう。このとき、できた紅茶は移した容器で保管することになるため、容器は必ず清潔にしておきましょう。(抽出と保存が一つでできる容器の場合、茶葉を入れる前から衛生面に注意してください)
できた紅茶を冷蔵庫で保管する
保存容器に紅茶を移したら完成です。保存は、必ず冷蔵庫で行いましょう。
ティーバッグを使って水出し紅茶を作る場合
次に、ティーバッグを使って水出し紅茶を作る方法について紹介します。
準備するもの
準備するものは、茶葉から淹れる方法とほとんど同じです。容器だけ、使いやすいものに工夫すれば外でも楽しめる紅茶水筒が完成しますよ。
・ティーバッグ
お好みの紅茶のティーバッグを選びましょう。
・容器(抽出用と保存用でそれぞれ)
密閉でき、中の色が確認しやすいものがおすすめです。ティーバッグを使う場合、ペットボトルや水筒も選べるでしょう。
・水
浄水器を通した水やミネラルウォーターを使うとより美味しくできます。
水出し紅茶の作り方
容器にティーバッグと冷水を入れる
清潔にした容器に、ティーバッグと冷水を入れます。このとき、ティーバッグの数は商品説明を確認して選択してください。好みで個数や抽出時間を調整することもできます。
冷蔵庫で抽出する
容器を密閉したら、冷蔵庫で保存し紅茶を抽出しましょう。抽出時間は、茶葉の場合と同様に8〜12時間程度が目安です。
ティーバッグを取り出し冷蔵庫で保管する
ティーバッグを取り出して、そのまま冷蔵庫で保管しましょう。ペットボトルや水筒で作れば、そのまま持ち運んで外出できるため利便性が高いですよ。
水出し紅茶の淹れ方はどちらがおすすめ?
水出し紅茶の淹れ方を2種類紹介しましたが、「濃さや風味にこだわりたい」という方は茶葉を使う方法を、「手軽に淹れたい」という方はティーバッグを使う方法を選ぶのがおすすめです。
茶葉を使う方法は、自分の好みの茶葉を使う事ができる上、濃さを調整することもできるため、こだわりたい方におすすめです。しかし、淹れたあとに茶葉を取り出す作業が少し面倒に感じるかもしれません。
抽出用のフィルターと保管用のボトル部分が一緒になったフィルターインボトルもあるので、それを選べば抽出と保管が一つでできてお手軽ですよ。
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逆に、ティーバッグは簡単に淹れられるというメリットもありますが、好きな茶葉がティーバッグになっていない可能性もあります。そのため、慣れてきたらお好みの茶葉をティーバッグに入れて抽出する方法もおすすめです。百均などに茶葉の入っていないティーバッグのみが売られているため、そこにお好みの茶葉を好きな量入れてティーバッグにしておけば、いつでもそれを入れるだけでこだわりの水出し紅茶ができますよ。
また、ティーバッグにすることでペットボトルや水筒に入れることができるため、持ち運びしやすくなる点もメリットです。
水出し紅茶を美味しく飲むためのポイント

水出し紅茶は、渋味が少なく味が良いというメリットがありますが、ただ淹れれば良いというわけではありません。水出し紅茶を美味しく安全に飲むためのポイントを紹介します。
【注意】食中毒のリスクを考えて24時間以内に飲み切る
水出し紅茶には食中毒のリスクがあるため、24時間以内に飲み切るようにしましょう。
お湯出しの紅茶であれば、淹れる際にお湯によって食中毒の原因菌を加熱し殺菌することができるため、食中毒のリスクを下げることができます。しかし、水出しの場合は茶葉や容器に付着している可能性のある菌を加熱により殺菌することができないため、お湯出しに比べて菌が繁殖する可能性が高く、食中毒のリスクがあります。
そのため、冷蔵庫で保管している場合でも24時間以内に飲み切るようにしましょう。
保存は必ず冷蔵庫で行う
水出し紅茶は、菌の繁殖を防ぐために必ず冷蔵庫で保存しましょう。
加熱ができない水出し紅茶では、菌の繁殖を防ぐために冷蔵庫での保管が必須です。また、食中毒の原因となりうる菌は常温で最も繁殖するため、長時間持ち運ぶときは保冷できる水筒やバッグに入れるなど、常温にならないための工夫も必要です。
加えて、常温の時間が長い場合などは菌の繁殖が進んでいる可能性があるため、淹れてから24時間経っていなくても、無理に飲まないようにしましょう。
食中毒が怖いなら容器を清潔にして水を浄水器に通す
食中毒の原因となる菌を紅茶に付着させないために、容器を清潔にして、水を浄水器に通すことも意識しましょう。
食中毒を起こさないためには、菌を付着させないことが重要です。そのため、容器は必ず洗って乾燥させ、必要なら消毒をして用いるようにしましょう。
また、水道水には不純物や菌が含まれていることもあるため、浄水器を用いてそれらを取り除くことも食中毒のリスクを下げることに繋がります。浄水器を使っていないという方は、ミネラルウォーターで代用も可能です。
ただし、水道水には菌の繁殖を防ぐ塩素が含まれているというメリットもあるため、水道水を用いてはいけないというわけではありません。
茶葉は新鮮なものを選ぶ
茶葉を用いて紅茶をいれる場合は、新鮮なものを選ぶようにしましょう。
紅茶の食中毒の大きな原因は、茶葉に付着した菌が繁殖することです。菌が繁殖しているかどうかを目視で確認することはできませんが、新鮮な茶葉を選べばそのリスクを下げることができます。
また、新鮮なものの方が当然、味や風味も良くなります。新鮮な茶葉を選ぶ以外にも、菌は水分のある場所で繁殖する傾向にあるため、茶葉やティーバッグは、湿気や温度変化が少ない場所で保管しておきましょう。
食中毒のリスクだけでなく、茶葉の劣化による風味の変化も気になるという方は、シリカゲルなどの乾燥剤と一緒に茶葉を保存しておきましょう。
保存容器はガラス製を選ぶ
水出し紅茶を美味しく安全に飲むためには、ガラス製の保存容器を用いるのがおすすめです。
ガラスは匂い移りが少ない材質であるため、紅茶の風味を損なわないのに加え、色もつきづらいため何度も洗って使用することができます。
また、蓋を開けなくても内容量がわかったり、茶葉が残っているかどうかがわかるなどのメリットもあります。
水出し紅茶に加えると美味しい!アレンジレシピ

ここからは、水出し紅茶のアレンジレシピを紹介します。気軽に作れるからこそ、アレンジで好みを見つけてみてくださいね。
フルーツティーの作り方・アレンジレシピ
水出し紅茶にフルーツとミントを添えるだけで一気にフレーバーが広がります。フルーツの種類によって紅茶の味わいが変わりますので、ぜひお好みの組み合わせを見つけてみてください。また炭酸水で割ると、より爽やかになります。
材料
・水出し紅茶 1杯分
おすすめの茶葉:アッサムやダージリンなどのコクのある茶葉
・お好みのフルーツ(いちご、レモン、オレンジ、キウイなど) 適量
・ミントの葉 1枚
作り方
①水出し紅茶をグラスに注ぐ。
②カットしたフルーツとミントの葉を添える。
スパイスティーの作り方・アレンジレシピ
スパイスを入れることで、異国情緒が感じられるスパイシーな紅茶になりますよ。スパイスの量はお好みで調整してください。パウダーになっていないスパイスを用いると、より香りが立つためおすすめです。また冷蔵庫で冷やすと、より美味しくいただけます。
材料
・水出し紅茶 1杯分
おすすめ茶葉:アールグレイ。ベルガモットの香りがスパイスとよく合います。
・シナモン 適量
・スターアニス 適量
・クローブ 適量
・レモン汁 2滴
作り方
①水出し紅茶を鍋に移し、弱火にかける。
②シナモン、スターアニス、クローブを加えて、香りが立つまで煮出す。
③火を止め、レモン汁を加えて混ぜる。
④冷ましてからグラスに注ぐ。
ヨーグルトティーの作り方・アレンジレシピ
ヨーグルトの量を調整すれば、自分好みの濃さにできます。また、フルーツやナッツを加えても美味しくいただけるため、朝食やデザートにもぴったりです。
材料
・水出し紅茶 1杯分
おすすめ茶葉:ダージリン。ヨーグルトの酸味と紅茶の香りがよく合います。
・プレーンヨーグルト 50g
・蜂蜜 大さじ1
・氷 適量
作り方
①水出し紅茶、ヨーグルト、蜂蜜をミキサーにかける。
②グラスに注ぎ、氷を加える。
ミルクジンジャーティーの作り方・アレンジレシピ
生姜の量を調整すると、辛味の強さを変えられます。温かいまま飲むと生姜の効果と相まって体が温まりますので、冬場のアレンジにおすすめ。
材料
・水出し紅茶 1杯分
おすすめ茶葉:ダージリン。すっきりとした味わいが生姜やミルクと調和します。
・牛乳 100ml
・すりおろし生姜 小さじ1/2
・はちみつ 小さじ1
作り方
①水出し紅茶を鍋に移し、弱火で温める。
②牛乳を加え、軽く混ぜながらさらに温める。
③すりおろし生姜とはちみつを加え、全体をしっかり混ぜる。
④火を止めてグラスに注ぐ。
水出しで手軽に紅茶を楽しもう!アレンジレシピで美味しさ無限大
水出し紅茶のメリットや、安全に美味しく飲むことなどについて紹介してきました。
水出しの紅茶は、お湯出しに比べて簡単に大量に作ることができ、味がよいというメリットがありますが、加熱ができない分早めに飲まなければならないという注意点もあります。これらの特徴を踏まえたうえで、美味しく紅茶を楽しんでみてください。
また、飲むだけでなく料理に活用できるという側面もあるため、ぜひ今回紹介したレシピも作ってみてください!